個人再生

個人再生 取扱業務

借金の額が高額になってしまい、ご自身の収入では完済することが難しいという場合には、個人再生という手続きがあります。

同じく借金問題を法的に解決する手続きである自己破産は、借金を全額免除してもらうという手続きであるのに対し、個人再生は借金の額やご自身が持っている財産の額などに応じて一定の割合まで借金を圧縮してもらい、それを原則として36回(3年の分割払い)で完済するという手続きです。この分割支払いを行う際には利息は発生しませんので、毎月決められた金額を支払うことで確実に借金完済に向かうことができます。

個人再生の手続きを利用できる人とは?

個人再生は、裁判所に申立てを行い、借金の今後の返済プラン(再生計画案といいます)について裁判所に認可をもらう、という手続きになります。裁判所に再生計画案が認可されると、借金がカットされ今後の返済にかかる利息もかからないことになるため、個人再生手続きを利用するためには一定の要件があります。

  1. 個人であること
  2. 給料などの反復継続した収入があること(個人事業主の方でも個人再生手続きを利用することはできますが、事業の直近の収支実績表と疎明資料を提出するなどして、今後も反復継続した収入見込みがあることを裁判所に認めてもらう必要があります。)
  3. 借金の額が住宅ローンを除いて5,000万円以下であること

個人再生手続きの流れ

1.司法書士にご相談・ご依頼

いくらぐらい借金があるのか、どうして借金ができたのか、お客様がお持ちの財産やお仕事の状況、今後の輸入見込みなどをお聞かせください。借金の問題については相談しづらい、頭ごなしに否定されるのでは、と専門家へのご相談を躊躇されるお客様もいらっしゃいますが、目の前のお客様のお悩みを少しでも軽くできるような丁寧なヒアリングを心がけておりますのでどうかご安心ください。また、ご相談だけのご利用もまったく問題ありません。

2.司法書士から、各債権者に受任通知を発送 

司法書士に個人再生の手続きをご依頼いただくことが決まりましたら、司法書士から各債権者に「受任通知」という書面を送ります。この受任通知を受け取った以降、貸金業者はご本人に対して借金の督促を行うことが禁止されることになります(請求書や督促状については、自動的に送付されるケースがあり、受任通知を発送してからも一定期間続くことがあります)。

3.債権調査

各債権者にいくら債権を有しているかを書面で回答してもらい、いくら借金を抱えているかを正確に把握します。借金の額は、個人再生の手続きでどこまで借金が圧縮されるかが決まる重要なポイントとなります。

4.個人再生申立書の作成および添付書類の収集

個人再生の申立書には、借金ができた理由や職務経歴、今後の収入の見通しなどを詳しく記載する必要があります。特に、個人再生手続きにおいては、家計収支表(家計簿)の作成がかなり重要となりますので、毎月きちんと家計簿をつけていただき、収入の範囲内で家計をやりくりしていただく必要があります。また、通帳や生命保険の証券など、お客様ご自身でないと用意できない添付書類も多くありますので、司法書士からご案内した書類を漏れなくご準備いただけますようお願いいたします。

5.裁判所に申し立て

個人再生の申立書が完成し、添付書類の準備も整いましたら、裁判所にこれらの書面を提出します。裁判所にて書面の審査が行われ、追加の書類提出指示や、追加の質問が出ることがあります。借金の額が高額な場合や、個人再生をされる方が個人事業をされている場合など、一定の場合には裁判所が個人再生委員を選任することもあります。個人再生委員が選任されると、別途再生委員選任費用を裁判所に納める必要があります。

6.裁判所に今後の返済プラン(再生計画案)を提出する

裁判所に再生計画案を提出したのち、債権者の意見を聴く期間などが設けられます。

7.裁判所による認可決定

裁判所が今後の返済プラン(再生計画案)について履行可能性ありと判断した場合は認可決定が下され、認可決定が確定したのち、各債権者への返済がスタートすることになります。

個人再生が有効な場面

ここでは、個人再生の手続きが有効となる場面についていくつかご紹介します。

住宅ローンを組んでおり今後もマイホームを残したい

借金の額が高額になってしまったが、住宅ローンを組んでおりマイホームを残して借金を整理したいという場合、個人再生の手続きを行うことで、住宅ローンは今までどおり返済を続け、それ以外の借金を圧縮してもらうということが可能です。

ただし、住宅ローンの支払いについて滞納がかなり膨れ上がっている場合や、住宅ローンやその住宅のリフォームローン以外の借り入れについて、マイホームに抵当権が設定されている場合は、個人再生手続きをしてもマイホームが残せない、というケースもあります。

借金ができた理由がギャンブルや浪費、株の失敗などである

同じく借金の解決方法である自己破産の手続きにおいては、免責不許可事由と定められているものがいくつかあり、借金をした理由がギャンブルや浪費である場合、または株やFXなどの失敗である場合は、裁判所の判断により免責が許可されない可能性があります。

一方、個人再生の手続きにおいては、借金ができた理由がこれらの事情であったとしても問題なく手続きをすることができます。ただ、個人再生の手続きにおいては、今後きちんと借金を完済することができるかという点を裁判所が厳しくチェックしますので、ギャンブルや浪費、株やFXの取引きについてはお止めいただく必要がありますのでご注意ください。